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コラム 牧師の書斎から

2009年3月1日 小平牧生師

西宮市の総合福祉センターが近所にあることと関係しているのだと思いますが、西宮チャペルの側にいくつかの福祉作業所や施設が存在しています。その中のある一つの就労サポートセンターが就労訓練のために西宮チャペルを利用して下さっているのですが、毎週一回、何人かの訓練生の方々が指導の方とともに教会堂の清掃に来られるのです。障がいが与えられている中で、彼らの「働きたい」という熱意はその一生懸命な姿から伝わってきます。彼らは教会の事務所にやって来る時に、一人一人が「よろしくお願いします」と大声で挨拶し、また仕事を終えて帰られる時には、「ありがとうございました」と一人一人が頭を下げて大きな声で挨拶をして帰られます。その瞬間、事務所にいる人やロビーでの雑談もとまり、牧師室にいる私も一瞬「ピシッ」と背筋が伸びます。
本当のことを言えば、私たちの方こそ助かっているのです。教会の働きの中でもそういう仕事はあまり人気がないというか、最近は会堂清掃の働きを教会内で募集してもなかなか奉仕者は増えません。係の人がいろいろな人にお願いをして奉仕者を満たしているのが現状です。だから不思議な感じがするのです。掃除をして下さる方々に対して、「よろしくお願いします」そして「ありがとうございました」は普通です。しかし、掃除をして下さった方が、「掃除をさせていただいて、ありがとうございました」というのはめずらしいです。しかしよく考えてみると、それが本来あるべき姿ではないでしょうか。教会のためでも誰のためでもなく、自分のために、「奉仕をさせていただいて、ありがとうございました」なのです。奉仕ができるということは「ありがとうございます」なのです。
今朝、礼拝に来られたみなさん。教会堂がいつもきれいに整えられているのはなぜかご存知ですか。あなたも「掃除をさせていただいて、ありがとうございました」という生き方をなさいませんか。