ここからコンテンツ

コラム 牧師の書斎から

2009年5月17日 小平牧生師

「ナショナルジオグラフィック」が、以前に<ユダの福音書を追う>という特集を組みました。1980年ごろにエジプトのカイロ近辺で発見された文書の中の一つに「ユダの福音書」の写本があったというのです。年代的には紀元220~340年ごろもので、当時のコプト語で書かれているそうです。この類のものはいつもそうですが、今回も「この文書はユダとイエスの関係に新たな光を投げかける」と新聞等でセンセーショナルに人々を煽っています。その「ユダの福音書」の写本には、ユダがイエスをローマの官憲に引き渡したのは、実はイエス自身の言いつけに従ってしたことだと書かれています。賢明な皆さんはだまされないと思いますが、宣伝におどらされている人々に教えてあげて下さい。そもそもこの「ユダの福音書」はその年代からも明らかなようにユダが書いたものではありません。だれが書いたのかわかっていませんが、その内容から間違いないことは初代教会の異端であったグノーシス主義の人々です。「ナショナルジオグラフィック」には、ご丁寧に「この写本は後世の偽書ではなく、本物の聖書外典であることが確認されました」と書いています。つまり、本物の『偽物』と確認されたと言っているのです。「ユダの福音書」は、当時のグノーシスという異端の福音書として、人々をまどわすために記されたものなのです。ですから、写本が本物であればあるほどその内容は「間違いのない偽り」なのです。

同じような「ピリポの福音書」という文書をネタに「イエスとマリヤは夫婦であった」という衝撃的でおもしろおかしい内容で人々を騒がせた「ダ・ヴィンチ・コード」が、また新しいネタで映画になっています。この作者のダン・ブラウンという人はニューエイジの思想家です。私たちは、真理の根底を崩そうとする偽りの教えを見抜くことが大切です。