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コラム 牧師の書斎から

2009年8月2日 小平牧生師

「ちょっとあり得ないなあ」と思いながら、しかし「なるほど」と考えさせる記事を読みましたので、紹介しましょう(「ハーベストタイム」8月号)。
米国テキサス州のアーガイルにあるクロス・ティンバーズ・コミュニティという教会でのことです。世界同時不況のため2009年に入ってからこの教会でも経済危機による献金難に陥りました。こういう場合、支出予算の縮小に動くのが普通のやり方です。しかしこの教会のトビー・スロー牧師は、この困難が祝福に置き換えられ、失業や給与削減などで経済的苦境に立たされている人々に対して何ができるかを祈っていました。そして彼はある日曜日の礼拝で、「経済的に困っている人々は献金皿からお金を取って下さい」と語りました。その結果、何が起こったかというと、この教会の歴史の中で最も多くの献金がささげられたのです。礼拝に出席している人の中には、自分たちも困難の中にありながら、苦難の中にある人々のために何かをできないかと願っている多くの人たちがいたのです。スロー牧師はCNN系列の番組で、「このような苦難の時だからこそ、自分たちの本来の使命を思い出すべきです」と、語っています。
この教会は、この日曜日から2ヶ月間で50万ドルをその地域の経済的に困難な中にある人々を助けるために捧げました。ある日曜日は、教会のメンバー全員が50ドル紙幣と手紙を入れた封筒を、自分の周辺のいる経済的に困った人々に届けるプロジェクトをしました。それを受けたケイティ・ルイスという女性は、CNNのインタビューに対して、「私は長い間ずっとひとりぼっちでした。思いやりを示されたり心にかけてもらったり、歓迎されたりするなんて、本当に驚きです。」と語っています。

これを読んだ皆さんも、「ありえないなあ」と感じたのではないでしょうか。
この行動をそのまま真似をしようというのではありません。しかし、この教会のメンバーにも「ありえない」と感じた人々がいたと思います。真似すべきことは、どんな困難であっても、その状況こそ今の自分のあり方を変える機会、成長のチャンスであるということです。私たちは困難が過ぎ去るのをじっと耐えているだけでは成長しないのです。