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コラム 牧師の書斎から

2010年8月22日 小平牧生師

新約聖書の中にはたくさんの手紙が加えられていますが、その中で、ヨハネは何度も「愛する者たち」と語りかけています。晩年になったヨハネの回りに

は、人生の様々な苦しみに会っている人たちがいたでしょう。どうして、神がいるなら不公平があるのか、苦しみがあるのか、悲しみがあるのか、病があるのか、悲惨なことが起こるのかと、叫んでいる人がいたと思います。そのような人たちに、ヨハネは「愛する者たち」と呼びかけました。それは、「あなたは愛されている」ということを何としても伝えたかったからであると思います。

ナウエンという人が、「自己否定の危険性」ということについて語っています。「人生の最大の罠は、成功でも、名声でも、権力でもなく、自己を否定することです。成功や名声や権力は、たしかに大きな誘惑をもたらします。しかし、そのようなものに人が魅了されるのは、自己を否定するというもっと大きな誘惑から出ていることが多いのです。『あなたには価値がない』『愛されるに価しない』と呼びかける声を私たちが信じるようになると、成功、名声、権力によってその問題を解決できると感じるようになるのです。」

生活の中で、失望したり、疑ったり、人と争ったりするのは、自分が本当に愛されていることが自覚されていないところで起こっているのではないでしょうか。私たちは「愛する者たち」と呼びかけている神の愛の声を聴くことが必要です。そのためには、実際にその時間をとって神様のラブレターである聖書を読むことが大切です。クリスチャンは、神様の愛をただ妄想しているのではなく、愛の言葉を直に聞くことができるのですから。