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コラム 牧師の書斎から

2011年2月27日 小平牧生師

「いのちのことば」という小冊子に掲載されている藤原淳賀先生の「300年先を考えた教会形成を」というコラムを興味深く読んだ。

藤原先生は、東京の渋谷で比較的若い人々を中心に開拓伝道に取り組んでおられるが、7年前に教会開拓を始めた時に「300年先を考えた教会形成をやろ

う」と話し合ったという。現実は次週の礼拝メッセージや教会の必要経費をどうするかという状況であったが、目先のことではなく300年先を考えて今必要

なことをやろうと話し合ったというのである。300年という数字は、江戸時代のキリシタンの歴史から与えられたチャレンジであるという。歴史を見るとい

わゆる隠れキリシタンの人々の9割の人々は信仰を捨てている。しかし一割の人々は250年おそらく7-8世代にわたって迫害下でありながら信仰を継承し

た。そして江戸時代の終わりに宣教師が再びやってきた時に、彼らの信仰継承が明らかになった。隠れキリシタンの信仰の内容については吟味する必要があると思う。しかし、少なくとも彼らは7世代も続く子孫が迫害下で信仰を継承したのだ。教会もなく、牧師もいない中で、自分だけではなく、子どもだけでもなく、孫だけでもなく、7世代も。そのように信仰が継承されるような教会を形成したいと願ったと言うのだ。

日本のプロテスタント教会は、信仰継承率が高くないと言われる。その理由に日本社会における信仰生活の困難さが挙げられるが、本当はそんなことではない。一番の理由はクリスチャンがイエスキリストを愛してはいないからだ。信じてはいても、歌ってはいても、語ってはいても、愛してはいないなら、子どもや孫がいのちをかけて継承しようとは思うはずがないよ。イエスキリストを愛してさえいれば、黙っていても信仰は受け継がれる。300年後の成増教会、私たちの子孫がここにあふれているように、今を生きよう。