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コラム 牧師の書斎から

2011年10月30日 小平牧生師

先週出席した研修会で、建設機械のトップメーカーであるK製作所という会社で人事・教育を役員として担当してこられたHさんのお話を聞く機会がありました。「どのような人を、どのように育てるか」ということがテーマでしたが、お話を聞きながら感心することばかりでした。 司会者の紹介では、K製作所の企業データで一般的に突出しているのが離職率の低さであるということでした。その理由は、ただ単によい給料や職場環境とか、成長の可能性や働きがいがあるというだけではないことを、いろいろな点から話してくださいました。教会のことを言えば、信仰を持たれながら教会から離れていく方が少なからずおられることは教会の痛みです。教団の牧師にも退職される方が相当数あるのです。私たちは受洗者や献身者の増加は話題になっても、やめていく人の問題については個人の信仰や献身の問題として片付けてしまい、私たち自身の問題としてはなかなか取り組めていません。

ところで、最近一人の青年が教会に来ました。彼はある教会に通っていましたが、そこでは聖書や教理の話はあっても自分に必要な交わりはないというのです。礼拝後に食事をする時間はありましたし、同じように社会で生きる人たちがいましたが、話は教会の活動の話と世の中の話が多く、社会においてキリスト者としてどのように生きるのかということはほとんど話題にならなかったと言います。そうなるとやがて人は離れていきます。それでやっていける人やそういうものだと思っている人は別ですが…。牧師がいなくてもそこは教会になります。メッセージがなくても主を礼拝することはできます。しかし交わりのない教会はありません。牧師やメッセージでつながっている人は、つながっているようでも成長はしませんので、それがなくなると離れます。しかし、交わりがあれば人は育ち、結果的に教会に定着します。