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コラム 牧師の書斎から

2012年2月5日 小平牧生師

救世軍の牧師先生から、津波で被害を受けた女川町の漁協に30隻の漁船を支援されたことを聞きました。女川町の漁師さんの要望に添った特別仕様の船を造って贈ったのだそうです。私のような素人には、漁船であればどんなものでも役に立つと思えますが、そうではないようです。中古の漁船を寄贈してもらっても、現場の漁師さんたちに合った船とそうでない船があるのだそうです。

それぞれの浜には個性があり、その海の性質、特に気象の変動と潮の流れ、もちろん何を捕るのか、一口に漁といってもそれぞれの特異性を無視して「漁船とはこういうもの」という一般化された考えの中で造られた時、その船は実際には役に立たないのです。

ところで、公共広告機構(AC)をご存知でしょう。震災後にTVでコマーシャルが自粛されていた期間に流れていたメッセージでおなじみですが、5年くらい前に次のようなメッセージがありました。

「『いのちは大切だ。いのちを大切に。』そんなこと何千何万回言われるより、『あなたが大切だ。』だれかがそういってくれたら、それだけで生きていける。」

ある教会の牧師のブログをヒントに作られたコピーだそうです。一般的な理論としてでなく、個人的に伝えられることがどんなに大事かということは、私たちがだれでも経験していることですね。

なるほどなあ、と思いました。伝道も同じです。「伝道とはこういうもの」という絶対的な方法はないのです。その人に対してベストな方法があるだけです。そして最終的には、神様の愛のメッセージは人から人に伝えられるのです。私たち自身がその人に対して自分の言葉で語りかけないかぎり、神様の愛は伝わらないのです。それは逆に言うと、あなたの語り方、あなたの言葉だけが届く人々がいるということです。伝道のプロはいないのです。

最後になりましたが、今年もよろしくお願いします。私も微力ながらしっかりみなさんを支える覚悟でいます。(実際は、私がみなさんによって支えられているのでしょうね。)