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コラム 牧師の書斎から

2012年4月1日 小平牧生師

一昨年あたりから「聖書」や「キリスト教」についての書物や特集された雑誌が次々と出版されています。

たとえば、講談社現代新書の「ふしぎなキリスト教」は一年間に刊行されたすべての新書から一冊を選ぶ「2012年新書大賞」の第一位になりました。日本はクリスチャンは1%以下でも、「もし信仰をもつなら?」というアンケート調査ではいつも高い率を示す通り、私たちには希望のある現象ですね。潜在的な求道者の方々は多くおられるのですから、その方々に届くことばと方法を探し求めて伝道をしていけば、必ず福音が届くと思います。

ちなみに、この「ふしぎなキリスト教」の内容には事実と解釈の両面において好き勝手に記されています。それは救いの書として読んでいないところからくるのですが、それでも、他の同種の本に比べると秀逸だと思います。それだけではなく、私たちクリスチャンがもっと正面から受けとめるべきことも記しています。

たとえばこう書いています。「キリスト教の信仰とはイエスキリストの教えを信じることではなく、イエスキリストの生涯に関する出来事を信じることである。」これは他の同類の書にはないことです。「相対性理論はアインシュタインが発見したから真理なわけではなく、他の人が発見しても真理である。しかしキリスト教はイエスキリストが語った言葉がその生涯と切り離されては真理ではあり得ない。」「イエスキリストの十字架と復活の事実がキリスト教の中心であり、キリスト教信仰とはイエスキリストについての歴史的な出来事にコミットすることである。」処女懐胎や復活に対してボヤッとしているクリスチャンより、よほど確信をついています。

今週は受難週です。イエスキリストの十字架と復活は歴史的な事実です。私たちはその事実の上に信仰を築いているのです。それがわかると何が大事で何が大事でないかがわかります。