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コラム 牧師の書斎から

2012年9月2日 澤村信蔵師

最近、領土問題で、日韓関係、日中関係が非常によくない状況に陥っています。先日は、丹羽宇一郎駐中国大使が少なくとも2台の車に包囲され、国旗を奪われました。暴動ではあく、明らかに大使の車を狙い撃ちする悪質なものです。韓国との間においては、親書が送り返されたり、韓国大統領の天皇に対する発言など異常な事態が続いています。弱体化している政府の影響もあり、未然に防ぐことが出来なかったということもあるのかも知れません。ただ、過激な反応にも関わらず、政府としては冷静に対応しているのですが、今までと違うのは、日本人の感情が結構過激になりつつあります。

先日、大宮教会の一人の青年が、駅で襲われました。「お前、韓国人だろ」と何人かの心無い日本人に突然因縁をつけられ、辺りが騒然となり、警察や機動隊までが出動するほどの騒ぎになりました。特に彼が何をしたというわけではなく、韓国人と言うただそれだけの理由で彼は襲われそうになったのです。幸いにして、本人は怪我がなくて本当に良かったのですが、同じ日本人として大変恥ずかしく、また申し訳なく思います。最も弱いところに、その矛先が向き始めているのかもしれません。

やられたらやり返すというならまだしも、やられた分を一番弱いところに仕返しすることによってうっぷんを晴らそうとしているのです。そんなことをして生み出すのは憎しみだけにも関わらずです。「あなたの隣人をあなた自身のように愛しなさい。」この言葉こそ今私たちに語られている言葉ではないでしょうか?過去のいろいろな問題の解決は、容易にはできないでしょう。でも、そんな中でも、私たちの今出来ることは、互いに愛し合うことではないでしょうか。キリストの愛だけが憎しみを愛に変えるのです。日本人として、隣人、隣国に対して、主張すべきところはきっちりと主張しつつも愛をもって互いに覆いあうことが出来ればと思います。そして、韓国や中国の在日の方々が日本で安全に暮らすことが出来るように、そして、韓国や中国に駐在されている日本人が安全に生活できるように祈ってやみません。