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コラム 牧師の書斎から

2012年10月7日 小平牧生師

牧師として27年働いてきて現在54歳。若い時は「いつ死んでもいい」とひらきなおっていたが、今は「自分の人生の最後までやらしてください」と思う。それは長くやりたいからではなく、「自分の人生を生ききりたい」からだ。

今年の春だったか「The Guardian」紙の記事に、「人は死に際してどういうことを後悔するか」という特集が載った。ホスピス病棟で余命12週間ほどの患者さんの看護にあたっているボニー・ウェアさんによると、「もしもう一度人生を歩むとしたら」という問いに対して、多くの人たちから似たような答えが返ってくるのだという。

トップ5の第一は、他人の期待に応えるのではなく自分に正直に生きたかった、という応答。(僕も他人の目ばかり気にする牧師にはならないでおきたい。)二番目は、働きすぎたことを悔やんでいる。(男性はほとんどこの言葉を口にするらしい。自分も例外ではない。)三番目は、自分の感情を表現する勇気が欲しかった。(特に怒りの感情を抑圧した結果、病気になっている人が多いとのこと。牧師にもこのタイプが多い。)四番目は、友人との関係を大切にしたかった。(先日は中学時代の同窓会に行った。翌日に礼拝メッセージを控えていることも忘れて楽しかった。)最後は五番目。もっと幸せに生きることを自分にゆるすべきだった。(筆者によると、これは、幸せに生きることは本人の選択であるのにずっと否定的な考え方に支配され続けて人生を終える人が多いという意味。)

「自分の人生を生ききるため」には、自分が握っているものを手放すことが必要。これからはそれが課題になる。実績、立場、経験のような見えないものも、また見えるものも含めて、手放さなければならないものが多い。これは厳しい作業だが、ただ、イエス様との親しい関係だけによって、次の段階に進んでいきたい。