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コラム 牧師の書斎から

2012年10月14日 小平牧生師

今から15年前にサバティカルをもらってアメリカで一年過ごしました。サバティカルというのは3ヶ月から1年くらいのまとまった有給休暇のことで、欧米では牧師に義務づけられていますが、日本では取り入れている教会や教団はないと思います。私の場合は、牧師としてちょうど10年間働いた頃、阪神大震災を経て、また教会が40年周年を前にしていたこともあり、教会のリーダーたちの後押しもあって実現しました。オレゴン州のポートランドで家族とともに過ごしながら、近くの神学校で聴講し、あらためて日本の伝道と教会形成について祈りながら考える時間が与えられました。牧師の場合、神学校での学びが実践がない時点での学びであるために、しばらく牧会を経験してからの学びは非常に意味があります。また、神学校を卒業した時から「先生」と呼ばれてリーダーとして働きますので、どこかで自分の人生をじっくりとらえ直すことも大事なことです。

教団の理事になってから問安の際などにこのことの重要性を話するのですが、ほとんど理解を得られません。牧師を酷使する?ことを考えているとしか思えない人も、たまにですがおられます。牧師が祝福されれば、教会も自分も祝福されます。牧師も「信徒が大変な時代に生きているのに休暇など取れない」と言います。気持ちはわからないではありません。しかし、自分の責任が何かわかっていないのです。牧師が疲れ果てるまで苦労しても、それで人が癒されるわけではありません。牧師は恵まれて、少しでも優れた奉仕をすることが責任なのです。

私自身もゆるされれば再びサバティカルの時をいただきたいと思いますが、今は離れられない役目がありますので、先週は10日ほどいただいて妻とアメリカに行きました。山の中に閉じこもっての静かな研修の時間は新たな力を与えてくれました。成増教会でもぜひふさわしい時に牧師にサバティカルを与えていただきたいと思います。アメリカに行かなくても、一年でなくても、一ヶ月でも二ヵ月でもしっかりと安息の時をもって休むことは、聖書的なことです。このようにお願いするからには、私自身もお手伝いさせていただくつもりです。