ここからコンテンツ

コラム 牧師の書斎から

2014年12月14日 澤村信蔵師

「すべての人を照らすそのまことの光が世に来ようとしていた。」ヨハネ1章9節

世界の最初のクリスマスは、今から2000年前、ベツレヘムで起きました。ただその日がいつであったか聖書は記していません。だからいろんな説がありました。例えば、アレクサンドリアのクレメンスは、5月20日ではないかと言ったりしています。でも、少なくとも4世紀には、西方教会では12月25日にお祝いしていました。当時の異教の冬至のお祭りからきたのではないかとも言われています。でも、不思議なことに、ユダヤ教でもこの時期お祭りをします。それがハヌカの祭りです。

紀元前2世紀、イスラエルの地はシリアのギリシア人の支配下にありました。ギリシア人は、自分たちの文明を広めるのを為、ユダヤ教の聖所であるエルサレム神殿をけがし、人々に異教の慣習を押し付けたり、ユダヤ教のおきてを禁じたりしました。それに対し反乱を起こし、独立にまで導いたのが、ハスモン家といわれる人々です。強力なギリシア軍に勝利し、紀元前165年エルサレム神殿を解放しました。ハヌカというのは、ヘブライ語で「奉納」とか「献堂」という意味で、祭りはユダヤ暦キスレブ月の25日から8日間祝われます。タルムードの中にハヌカに関するこんな記事があります。神殿を占拠したギリシア軍は、神殿の燭台を点す油の壷をみな汚した。しかし神殿解放の日、やっと1つの油壼が大祭司の封印のまま見つかった。油はわずか1日分にも満たなかったが、点してみると何と8日間も燃え続けたというのです。この奇跡を記念して祭日とされたというわけです。だから、ハヌカは別名、「光の祭り」とも呼ばれます。そして、その中心には燭台と光があるのです。

ハヌカとクリスマスには関係はないように思えます。でも、まことの光がこの世に来た、そのことをお祝いするクリスマスを彼らも知らずにお祝いしているのかもしれません。もし彼らが本当の光の意味を知ればどんなに素晴らしいことでしょう。

このクリスマスは、私たちのためにまことの光がもたらされたことをお祝いする日です。でも、大切なのはお祝いすることではなく、まことの光を知ることです。