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コラム 牧師の書斎から

2016年9月25日 澤村信蔵

最近、エステル記を祈祷会でともに読んでいます。エステル記は不思議な書で、神様という言葉が一度も出てきません。神の名も祈りも信仰的と思われる言葉もないのに、神様の臨在、神の御手を感ぜずにはおれないのです。ストーリーも波乱に満ちています。主要な登場人物は王妃エステル、ペルシャの王アハシュエロス、首相ハマン、エステルの育ての親で後に首相となったモルデカイの4人です。両親に先立たれたエステルが王妃となるシンデレラ物語であり、大逆転ありの痛快な書ですのでぜひ一度読んでみてください。
ある時、モルデカイはハマンに平伏しなかったためにハマンの怒りを買います。ハマンは、モルデカイを殺すだけでは飽き足らず、モルデカイの一族ユダヤ人全てを殺すホロコーストを計画し、その法令が発布されます。それを知ったエステルが命をかけてユダヤ人を救うという物語です。最後の逆転に至るまでの一つ一つの出来事が、時にはあまり重要ではないと思うようなことでさえ、最善の時に、最善の形で起きていることに気付かされます。
私達もこのエステル記のような人生を送っているのではないでしょうか。日常の生活で、これは神様の御業だ、奇跡だ、と思うような出来事はそうは多くありません。神様の御業とは気付けないようなことばかりです。しかし、神様は、全てのことを最善にして、今まで導いて下さっているのではないでしょうか。人生の中の一つ一つの出来事には、神の名は記されていないように感じるかもしれません。でも、あなたの人生のすべての中に神はおられるのです。