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コラム 牧師の書斎から

2016年12月4日 澤村信蔵

「すべての人を照らすそのまことの光が世に来ようとしていた。」(ヨハネ1章9節)

先週からクリスマスを待ち望むアドベントに入りました。クリスマスは、人の光、まことの光であるお方がこの世に来てくださったことを記念し、そのお生まれを告げ知らせる喜びの日です。ただ、イルミネーションが飾られ、町が華やかになってくるこの季節は、闇の中にあると感じている人にとっては一番つらい季節であるとも言われます。周りが幸せに見えて、自分がいかに不幸なのかと感じてしまいかえって深いやみに包まれてしますのです。しかし、主イエスは、その闇の中にあるすべての人に光をもたらすためにこの世に来てくださったのです。

「目をささげ、手足をささげ、降誕祭(クリスマス)」
これは、玉木愛子が詠んだ俳句です。彼女は、1887年大阪の老舗の材木問屋で生まれました。順風満帆な彼女の人生に思いがけないことが起こります。それは、病です。それも、ハンセン病です。1900年の初め頃ですから、大変な差別がありました。家族と別れ、はるばる熊本の回春病院に入所しました。そこで、主イエスと出会いクリスチャンとなります。しかし、その後も病は進み、失明をし、手も足も失います。何から何まで他人の手を借りないと出来ない。家族とも別れ別れになっている。普通ならば絶望しかない状況です。クリスマスが来ても何もささげるものがない。そんな中で、「目をささげ手足をささげ降誕祭」と詠んだのです。老舗の材木問屋の娘から、何もない状況になってしまう本当に壮絶な人生です。しかしこの句を通して、玉木さんが救われた喜びを、そしてその救いを与えてくださった主イエスの降誕を、心から喜んでおられるのが伝ってきます。主イエスは、まさにこのようなやみの中にある方にも光をもたらしてくださるのです。私たちもこの主の御降誕を心からお祝いしましょう。そして、やみの中に光をもたらしてくださる主が与えてくださった喜びを告げ知らせましょう。