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コラム 牧師の書斎から

2016年12月25日 澤村信蔵

メリー・クリスマス!クリスマスおめでとうございます。クリスマスには、奇跡が起こります。2000年、神が人となってお生まれになった奇跡が起こりました。それは、まさに、神と人との本当の和解の奇跡です。そして、同じような奇跡がかつてありました。1914年12月25日、第一次世界大戦が始まってから最初のクリスマスにそれは起こりました。ドイツ軍とフランス・イギリス連合軍が、100メートルぐらいで隔てあう塹壕戦は、砲撃の応酬で悲惨なものでした。でも、その時、ある音楽がドイツ軍から聞こえてきました。それは、「きよしこの夜」です。歌を歌ったのは、テノール歌手の、キフヒオフだと言われていますが、彼が慰問に訪れていて、ドイツ軍の塹壕から、美しい歌声が、凄惨な戦場に響きわたったのです。そして、それは、100メートル先の敵国フランス軍の塹壕にまでとどいたのでした。「きよしこの夜」の調べに心打たれた兵士たちは、クリスマス・ツリーにキャンドルを灯しました。そして、昨日の敵は今日の友とはなりませんでしたが、今日だけは友として、そこで休戦がなされたのです。その歌を聞いたフランス・イギリス連合軍が自発的に停戦命令を出し、対峙していたドイツ軍も自発的に停戦命令を出し、昨日まで敵同士戦っていた両軍が、中間地帯の真ん中で顔を合わせたのです。そして、ついにそこは一時的にではあるが、戦場ではなくなったのです。それは、戦うべき両軍の兵士たちが、塹壕から出て来て敵兵と交流してしまったからです。残念ながらその奇跡はずっとは続きませんでした。むしろ、戦争はそれから拡大して悲惨な戦いになっていきました。そして、戦争は今でも続いています。戦争だけでなく、争いごとが今も各地でありますし、私たちの日常の中にも、小さい(当人にとっては、非常に大きい)争いごとがそこら中にあります。でも、その争いごとを平和にする力がクリスマスにあります。それは、神が私たちとともにいて、本当の平和をもたらしてくださったからです。今年のクリスマス、私たちもこの素晴らしい奇跡を体験しましょう。