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コラム 牧師の書斎から

2017年2月5日 澤村信蔵

「沈黙」という映画が今上映されています。遠藤周作の同名の著書を元にして作られたものです。江戸時代の長崎で宣教師やキリスタンたちがキリスト教迫害の時代にあってどのように歩んだかが描かれています。私自身は、小説しか読んでいないのですが、非常に良く出来た映画だということで評判です。ぜひご覧くださるとよいと思います。自分が試練にあって、また、キリスタンたちも途方もない試練の中にあるのにもかかわらず、どうして神は沈黙されているのか・・というのが一つの大きな問いかけです。これは、私たちの生涯においてもある問いです。どうして、神はこんなことをそのまま許しておられるのかという問いでです。この沈黙と言う小説では、神の沈黙はある意味で最後まで続きます。主人公のロドリゴは、キリスタンであったのですが、踏み絵を踏んでしまったキチジローに売られ、捕まってしまいます。そして、とうとう主人公のロドリゴが、踏み絵を踏むざるを得ない状況に追い込まれます。そのときに声が聞こえます。「踏むがいい。踏むがいい。」と、そして、彼は踏み絵を踏んでしまうのです。正直、ちょっと違和感を覚えたのはこの箇所ですね。イエス様は本当に踏むが良いと言うだろうか?というと私は分かりません。でも、その後の言葉には、激しく同意するのです。「踏むがいい。私はお前たちに踏まれるため、この世に生れ、お前たちの痛さを分かつため十字架を背負ったのだ。」罪を犯すことを勧めることはないでしょう。しかし、罪を犯さざるを得なかった私たちの心の痛みを主は知ってくださって、その痛みも知っていてくださる。単に沈黙しておられるのではなく、その痛みを共に担ってくださるのが私たちの主なのです。そして、十字架ですべての罪をあがなってくださるのです。たとえ主を裏切ることになってしまっても、その罪でさえも覆ってくださるのが私たちに注がれている神の愛なのです。