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コラム 牧師の書斎から

2017年6月18日 澤村信蔵

先日、「テロ等準備罪法案」が可決されました。ヨーロッパなど多くの国で、テロが現実になされていることを思う時、急いで可決しなければならない法案であることも分かります。でも、同時に、私たちは、忘れてはいけないこともあります。それは、1943年6月26日私たちの先輩たちが、治安維持法により一斉に弾圧を受けた事実です。成増教会も無縁ではありません。小林廉直先生は、弾圧を受けて、教会の解散を強いられました。牧師を続けることを許されなかったために、会社に勤めざるを得ませんでした。その時、勤めていたのが、ヘンミ計算尺で、勤めていた場所が、埼玉県和光市の寮でした。戦後、その地で寮長をしながら、宣教を開始し、群れができたので、会社を辞し、今の地で教会を始められました。まさに、弾圧があったから、ここに教会があるとも言えるわけです。
なぜ弾圧にあったのか、それは良く分かりません。少なくとも、戦争にホーリネス系の教会が反対していたわけでも、天皇制に反対していたわけでもありません。でも、一斉に検挙されたのです。記録を見ると、一番の問題は、主の再臨問題でした。主がおいでくださった時、地上の支配者である天皇と、再臨の主とどちらが偉いのか・・最終的には、天皇よりも上の存在である主イエス・キリストをあがめていくことが、国体に反するということだったようです。(実際にはその他の原因もあるのかもしれませんが)でも、国に反抗する意思は全くなかったのに捕まったということは確かなようです。「テロ等準備罪」も正しい運用がなされていくならば、非常に有益な法律です。すべては防止できなくても、テロを未然に防ぐこともあるでしょう。でも使い方を間違えると、再び弾圧という可能性もあります。上に立てられた者のためになお覚えて祈っていきましょう。でも、同時に、思う事があります。たとえそうなったとしても(私自身は絶対に弾圧は嫌ですが)神は、すべてのことを働かせて益としてくださるお方です。あの弾圧からでも、この教会を生みだしてくださったお方が私たちの主なのです。