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コラム 牧師の書斎から

2009年9月20日 小平牧生師

私が牧師室の自分の机の上にいつも置いている書物の一冊は「人生の五つの目的」という本です。この著者であるリック・ウォレン牧師は、オバマ大統領の就任式の祈りで有名になりましたが、現在のアメリカで最も影響力のある牧師の一人です。しかし、彼には幼い時からの持病があります。それは脳機能不全症の一つで、ホルモンが異常分泌される病気です。私たちはみな興奮したり緊張したりするとアドレナリンが分泌されますが、リック・ウォレン牧師はこのアドレナリンが過剰に分泌されるのです。人はアドレナリンが異常に分泌されると、激しいめまいが起こり、目が見えなくなります。その上、頭が割れるような激しい頭痛が起こり、立っていられなくなって倒れてしまいます。ウォレン牧師の言葉では、その時はまるでエンパイアステートビルの屋上に指一本でぶら下がっているような気分だといいます。

しかし、ウォレン牧師は、現在もカリフォルニアのサドルバック教会で毎週土曜日と日曜日に合わせて6回のメッセージをしています。そしてウィークデイは全米を飛び回っています。なぜそのような働きができるのでしょうか。それは単純なことです。彼はメッセージの前に毎回祈るのです。「主よ。このしもべをお守りください。」それだけではなく、とりなしの祈りのチームのメンバーはメッセージのあいだ中ずっと祈るのです。「主よ。あなたのしもべをお守りください。」

祈り。それは私たちが最も聞いてきたことでありながら、もっとも実行していないことかもしれません。私たちは弱い存在です。問題のない人はいません。
しかしなぜ神様は弱い人を弱いままで用いられるのでしょうか。ウォレン牧師のように、病気の人を病気のままで用いられるのでしょうか。それは、キリストの絶大な力が弱いところにこそ働くからです。ウォレン牧師によると、祈りは弱いところをなくして下さることを願うものではないようです。弱いところを弱いままで偉大な神の前に差し出すことなのです。