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コラム 牧師の書斎から

2010年1月17日 小平牧生師

あの朝から15年の時間が過ぎました。震災の経験者は「震災前」「震災後」という言葉を時々使いますが、私たち日本はたしかにあの日から変わったと思います。震災後、被災した生活や地域の復興に取り組みながら、もう一方ではあの出来事の本質というか、あの出来事を通して神様から教えられたもっとも大事な問題に取り組んで来ました。それは、私は何のために生かされているのか、とりわけ教会は何のためにあるのかということです。考えてみて下さい。たしかに震災は私たちの日常生活を揺さぶりましたが、同時に何よりも私たちの生き方を揺さぶったのではなかったでしょうか。私自身も被災地域の教会の働きとして復興支援をしながら、自分がしていることは被災者の方の復興をお手伝いするというようなおこがましいことではなく、そういうことは表面的なことであって、むしろその本質は、自分の価値観の根幹にある自分の信仰的体質を見直すことであると思って来ました。しかし15年経ってみて、はたして私は何を学んだだろうか。そして何が変えられただろうか。あらためてそう思うのです。
私たちは、バブルがはじけ、震災を経験し、さらにJALが倒産するほどの社会変化を経験しても、それでもやっぱり目に見えるものを追い求めています。
なぜでしょうか。内面にある価値観が変わらないからです。この節目を迎えて私たちが確認すべきことは、タンスを固定するとか防災用品をチェックするという以上のことです。もちろん力んでみてもしょうがないでしょう。しかし、「私は天の御国を待ち望んでいる。そのためにすべてのことをしている。」そのことをしっかりと確認して、地に足をつけた働きをしたいのです。
今日は、15年目の震災記念日で地域の行事に出なければなりません。成増教会の礼拝を欠席しますが、どうぞ被災地のために覚えて祈って下さい。また遠いハイチの国のためにも。