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コラム 牧師の書斎から

2010年9月19日 澤村信蔵師

今日は敬老礼拝です。この成増教会には、多くの信仰の先輩、人生の先輩がいてくださって、支えて下さっていることを心から感謝しています。

消えた年金問題ならぬ、消えた老人問題が起こりました。住所記載の無い100歳以上の高齢者は全国で23万4000人。このうち120歳以上は7万7118人、150歳以上は884人だったとのことです。日本に戸籍が出来たのは、1872(明治5)年、人口把握のために設けられました。もともと戸籍と実態には違いがあったとも言われています。ある人の計算によると、明治期の戸籍をもとにした人口は、解析による推計人口より多く、1907(明治40)年頃には、約100万人のずれがあったとのことです。つまり、死んだ人間が戸籍上生きているということは、昔からあったようです。

戸籍は、人の権利の元となり、生死の未届けを誤っては大変だから、削除手続きには、慎重を期すからです。疑わしきは罰せずではありませんが、疑わしきは、削除せずで来たからでしょう。確かに、自分の名前が間違えて削除されたらたまったものではないでしょう。でも、そのことが長年放置され続けられてしまっているという現状は、大きな問題です。利益を得るためわざと報告していないこともありますが、その他の背景には、核家族の問題が挙げられます。連絡もとらないうちに、どこに住んでいるのかわからなくなり、遂には生きているのだか死んでいるのかさえも分からなくなってしまうのだというのです。核家族になって一緒に住んでいないということよりも、家族でありながら関心がない、愛が冷えていることの方が本質的な問題ではないでしょうか。

この愛が冷えた時代にあって、私たちが果たす役割は、私たちが思う以上に大きいのではないでしょうか。今日も私たちは互いに愛し合うものとさせていただきましょう。