ここからコンテンツ

コラム 牧師の書斎から

2011年6月5日 小平牧生師

先週は日本の政治にほとほとあきれました。しかし考えてみると、自分もやるべきことをやっているかと反省させられます。震災から3ヶ月を前にして、被災地では何人かの方がみずから命を絶たれたことが報道されていました。将来の希望が見えてこないからです。私たちは日本のために祈らなければならないと思います。

被災地の教会を回ってみて、教会に格差が出てきていることを知りました。同じ地域や教会の中にも、立ち上がっていく人と、ずっとうずくまったままで立ち上がれない人がいます。立ち上がれない人とともにうずくまり、声の出ない人の心の声に耳を傾ける人が必要です。震災後の働きが進んでいることはすばらしいことですが、思うようにいかない人に「大丈夫。忘れてないよ」と伝えましょう。「ボランティアに行って来ました」という話を聞いて、反対に何もできない自分を責める人もいるのです。ボランティアに行った人は、行かなかった人に「いっしょだよ」と分かち合うことが大切です。

復興が進んで見えるところが新しくなることはすばらしいことです。でも、新しくなって悲しみの増す人々がいることを忘れてはなりません。泥にまみれた家具や写真の一つであっても、その人にとっては自分の人生そのものです。ボランティアの人がそれを捨ててしまって、自分のこれまでの人生が失われたように感じることもあるのです。だれでも、過去を捨てることは大変骨のおれる作業です。このためには時間がかかります。でもそれは自分の手でしなければならないのです。私たちにできることはその人といっしょにいること。見える復旧のスピードに心がついていかない人がたくさんいます。「最後まで一緒にいるから、ゆっくり」というメッセージを出しましょう。