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コラム 牧師の書斎から

2012年8月26日 小平牧生師

最近は領土問題によって近隣諸国との関係が難しくなっているが、昨年の東日本大震災の折に義援金や支援をいただいた中で飛び抜けていたのは台湾である。たとえば私たち基督兄弟団にささげられた義援金総額(国内からの義援金も含め)の半分以上は台湾からの義援金である。台湾では震災直後から政府が義捐金を含めあらゆる支援をすることを決定し、官民のあらゆる団体が協力態勢を組んで、現在までに約150-180億円の義援金が台湾から日本に送られてきている。これは総額の7分の1、人口比でいうならアメリカの16倍にもなる金額だ。

そのような台湾の行為について、かつて1999年に台湾大地震が起こった時に日本が率先して支援をしたことがあるのだが、このことでは非常に印象的な経験がある。台湾大地震の一年後位の時期に台湾の被災教会を訪問して集会をしたことがあった。私にとっては台湾は初めてであったが、それまで何度か訪ねた韓国で経験した感じをそこでも経験するであろうと思って出かけた。つまりかつての日本統治下の歴史によって、日本人をどのように受けとめてくださるだろうかということである。ところが、驚いたことに、多くのクリスチャンの方々から聞いたことは正反対のことだった。それはあのような戦時下の状況の中で、日本人軍人のクリスチャンとの方々と現地の教会のクリスチャンとの間に互いの国を超えたキリストにある交わりが生まれていたということであった。

相手を痛めたことをあやまることは難しい。同時に、自分を痛めた相手をゆるすこともむつかしい。それを可能にするのはイエスキリスト以外にない。国と国は愛し合うことはできない。むしろ世の終わりには互いに敵対し合うようになる。イエスキリストにあるならば敵を赦し、互いを愛することができる。愛を宣言しよう。