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コラム 牧師の書斎から

2015年1月25日 小平牧生師

NHK大河ドラマ『八重の桜』の主人公であった新島八重。朝の連続テレビ小説『花子とアン』の主人公の村岡花子。同じく『マッサン』の副主人公、エリー(リタ)。そして、今年秋からの朝の連続テレビ小説『あさが来た』の主人公の廣岡浅子。

みな全員クリスチャンです。廣岡浅子さんは、大同生命の創業や日本女子大の創設に関わった方で、1911年に62歳の時に有名な宮川経輝牧師から受洗しています。彼女の愛読書は、山室軍平の「聖潔之栞」であったようです。ただクリスチャンであるというだけではなく、救われて数年後に書いたものを見ると生半可な信仰ではありません。「基督に救われて茲に十年、単にわが身の安心立命を以て足れりとせず、国家、社会の罪悪をも、その身に担ふてこれと闘ふに非らざれば、真に十字架を負うて基督に従ふ者にあらざるを悟り、人を恐れず、天の啓示を仰いで、忌憚なき叫びを挙げたものであります。」(「一週一信」序文)。

なぜこれらの人々がとりあげられるのでしょうか。NHKがキリスト教に肩入れしているわけではありません。彼らがとりあげられる理由、それは、日本の歴史の中で彼らが輝いて生きていたということです。彼らのような生き様こそ、今の時代の人々に希望と感動を与えることができるという判断なのだと思います。クリスチャンだからドラマにしているわけではなくて、結果的に彼らがクリスチャンだったということです。ですから、これは「伝道のチャンス」であるとともに、「では、私の周囲のクリスチャンの生き様はどうか」と人々が見ているということでもあります。この世にあってキリストに従う者として輝いて生きているか。生き様がキリストの価値観によって貫かれているか、それが問われます。

かつてのようないわゆる信仰による成功物語は輝きません。私たちが仕事で成功していても、だからと言って人々はキリストを求めはしません。それはこの世の価値観だからです。今は本物を求めています。

イエスキリストにみられる価値観は、Humility(謙遜)、Integrity(誠実。その意味は裏表がないこと。ですから統合とも訳されます)、そしてSimplicity(簡素)。頭文字をとってHISミニストリーとも言われますが、このような性質をともなう生き方こそ、この社会にインパクトを与えます。あなたの人生が「連続キリスト小説」なのです。