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コラム 牧師の書斎から

2015年11月8日 小平牧生

 キリスト教会には大きく、監督制、長老制、会衆制と言われる三つの組織形態があります。歴史的に改革派や長老教会の伝統を受け継ぐ教会は長老制、バプテスト教会は会衆制、そして聖公会やルーテル教会とともにメソジストの流れを汲む私たちの教会は監督制をとっています。それぞれその呼称にあらわされている特徴があります。監督制をとる教会では牧師は任命制度です。教団の監督(兄弟団では以前は主管者でしたが、現在は理事長と言います)によって牧師は教会に任命されます。教団が一つの教会のような性質をもっているのです。それに対して長老制の教会では信徒と牧師による長老会によって教会の働きが行なわれ、牧師は招聘制です。会衆制の教会では全教会員による教会総会が議決機関であり、牧師と役員会がそれを執行します。聖書は教会の治め方について具体的な形態を定めているわけではありませんので、どれが聖書的かということはなく、むしろその国において福音宣教を前進させるあり方がその時点では最良であることです。
 前置きが長くなりましたが、私たちは監督制の伝統に立つ教会として、たえずそのあり方を整え続ける必要があります。なによりも宣教が進むためにです。何度も書いたことですが、「監督」と言ってもいろいろなイメージがあります。野球の監督は英語ではマネージャーで、自分が選手を使ってゲームのすべて組み立てます。なぜか自分もユニフォームを着て背番号まで付けています。それに対して最近話題のラグビーでは、監督はコーチです。彼は試合が始まればグラウンドにはいません。むしろラグビーではキャプテンが重要です。南アフリカ戦でキックかトライかどちらを狙うのかを決めたのはキャプテンです。あれが野球なら監督が決めるのです。この違いはゲームの特徴から来ます。野球は攻守裏表の区別がありますが、ラグビーの試合はたえず動いています。私は、後者のイメージが、聖書が語る「聖徒たちを整えて奉仕の働きをさせ、キリストのからだを建て上げる」(エペソ4:12)という牧師の務めに近いと思っています。しかしそのためにはビジョンと戦略を徹底し、一人一人をしっかり訓練しなければなりません。このあたりが教会の今後の課題かと思います。