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コラム 牧師の書斎から

2015年11月29日 小平牧生

 先週、仙台での会議の後に石巻に立ち寄りました。「震災後に市内に新しくできた教会の中の六つの教会が協力して共同墓地を立てることになったのでぜひその場所に行って祈って欲しい」と言われて、連れて行っていただいたのです。会議でも、震災後に救われたお二人の方に来ていただいておあかしをうかがいましたが、どちらの方も実家の敷地内には祠(ほこら)があって毎日お供えとお祈りをしていたということでした。そういう土地柄であり、伝道して救われた人々がクリスチャンホームを築いていかれるためにどうしてもお墓が必要です。そのことを痛感した方の篤い祈りのこもった献金によって実現したということでした。
 参加した会議には、震災後に石巻や被災地に移住された方々が何人かおられました。私を墓地に連れて行ってくださった方は22年間東京で宣教師団体の責任者として働いておられた方です。まもなく韓国に帰ってその後は悠々自適で生活する予定でした。しかし、震災後に被災地を訪ねた時に「私たちを助けてください」という叫びを聞いて石巻に移住されました。もう一人の在米日本人の方はアメリカの教会で礼拝していた時に「母国に帰りなさい」という主の導きを受けて、自分の会計事務所を閉じて石巻に来ました。そうやって石巻に集まって来た人々に励まされて幾つもの小さな教会が生まれています。
 今日からアドベントです。イエスキリストが私たちを愛して人となられてこの世に来られたのです。この知らせは、あなたと私の生き方にどのような変化を与えるでしょうか。あなたのために神が人となられたのです。こんなことは聞いたことがないはずです。神が人となられたのです。あなたのために。この事実は私たちの人生を根底から覆すものではないでしょうか。この知らせを聞きながら、もう一方ではこの世の楽しみに浮かれ自分の欲に支配されるような生き方は、しようと思ってもできるはずはありません。
 伝道というのは人を説得することではありません。この驚くべき事実を伝えることです。あとは聖霊なる神様がその方の心に働いてくださるのです。クリスマスは礼拝の時であるとともに伝道の時です。